形成外科で扱う疾患


縫縮

腫瘍やあざ、ほくろなどを切除した場合、または外傷などで、皮膚などの組織欠損が生じます。これを修復するもっとも単純な方法が縫縮です。

縫縮とは文字どおり縫い縮めることです。したがってこの場合、縮めるだけの周囲組織の余裕が必要です。切除される量とその部位によって、縫縮が可能かどうかが決まります。したがって、お腹など皮膚が充分つまめる部位では縫縮できる量も多くなりますが、頭皮などほとんどつまめないような場所では縫い縮められる量は少なくなります。

縫縮できない場合は、何回かにわけて切除していく方法、皮膚移植や皮弁、エキスパンダーなどの方法が必要になります。皮膚移植をすれば、傷がきれいになおるとお考えの方もおられると思いますが、実際の皮膚移植は張りつけたような感じになり、かえって目立つ場合があります。従って、縫い縮められるものはできるだけ縫縮したほうがよい結果が得られます。

いずれにしても傷跡は完全になくすことはできませんが、形成外科の場合傷跡をできるだけ目立たなくするために、さまざまな工夫がおこなわれます。たとえば、縫縮した傷の方向がなるべく皮膚のしわに合っているほうが目立ちにくいので、切開などをそれにあわせます。組織は愛護的に扱いできるだけ損傷を少なくします。また縫合のさいに形成外科では中縫いといって真皮(皮膚の深い部分)を縫合します。()この糸は傷の中に埋め込むように傷の端と端を縫い合わせます。この真皮縫合をおこなうことによって表面の糸を早めに抜糸することができ、糸による「ムカデのあし」のような縫いあとを少なくすることができます。顔面などでまぶたや鼻、耳など場所によっては皮膚の厚さなどの理由から真皮縫合をしない場合もあります。縫縮された傷は糸によってよせてある状態で実際には自然治癒の力で癒合していきます。

縫った傷は血液の成分がのりのように働き、だんだんと線維組織が蓄積されて傷口が補強されていきます。縫った直後の傷跡は細い線状でほとんど目立たず、もうなおったかなと思う手術後1~2ヶ月経った頃のほうが、むしろ目立ってきます。これはこの時期までは線維組織が過剰に生産されて、表面に目立ってくるからです。しかし余分な線維組織はだんだんと吸収され、きずあとも、一般的には半年から一年くらいで自然に平らに白くなっていきます。