形成外科で扱う疾患


顎下腺腫瘍

1. 疾患の解説

顎下腺は耳下腺に次いで2番目に大きい唾液腺組織で、下顎骨と顎二腹筋前腹・後腹に囲まれた顎下三角内に位置し、薄い被膜で包まれています。唾液腺腫瘍は頭頸部腫瘍の1~4%を占めると報告されており、唾液腺腫瘍の90%以上が上皮性腫瘍です。唾液腺腫瘍の部位別頻度としては耳下腺、小唾液腺、顎下腺、舌下腺の順で、耳下腺が60%以上を占めます。悪性腫瘍の割合は 逆に舌下腺がもっとも高く、小唾液腺、顎下腺がこれに次ぎ、耳下腺は最も低くなります。

顎下腺腫瘍では良性腫瘍が45%、悪性腫瘍が55%です。好発年齢は、顎下腺良性腫瘍は30~60歳、悪性腫瘍では40~70歳といわれています。

臨床症状は初期には良性、悪性に関係なく顎下腺体の可動性腫瘤として発症します。悪性のものは速やかに大きくなり周囲組織に波及するため、進行すると周囲との癒着のため運動が制限され、び漫性の腫脹を呈することが多く、顎下部から口底にかけての腫脹となることがあります。

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2. 治療法

治療の第一選択は手術です。切除範囲は良性腫瘍、悪性腫瘍ともに組織型、進展範囲によって異なるために良性、悪性の鑑別、腫瘍の進展範囲、周囲組織との関係、浸潤性増殖の有無、リンパ節転移の有無、さらに可能であれば組織型の術前診断が最も重要です。

良性腫瘍の手術原則は顔面神経下顎縁枝、舌下神経、舌神経を確実に保存し、腫瘍被膜周囲に、ある程度の正常組織をつけて腫瘍を切除することです。一方、悪性腫瘍では組織型、悪性度に応じて、腫瘍周囲に十分な安全域をとり、顔面神経下顎縁枝、舌下神経、舌神経および顎下腺周囲組織(口腔底粘膜、下顎骨、皮膚)をも含めて拡大切除することが原則となります。また頸部リンパ節転移がある場合、疑わしい場合は頸部郭清を行い、頸部組織を含めた切除を行います。

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3. 治療予後

良性腫瘍の多形性腺腫は、被膜を確実に含め切除した場合でも腫瘍被膜内にしばしば腫瘍細胞が存在することから再発をみることがあり、長期の術後経過観察が必要である。また悪性腫瘍の長期予後は腫瘍組織型、進展度、リンパ節転移の有無に大きく左右される。

(参考:唾液腺腫瘍アトラス 日本唾液腺学会:2005)

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