形成外科で扱う疾患


脱毛

医療施設で行われているものを「医療脱毛」と言います。つまり、医者が自ら、あるいは医者の監督と指示のもとに看護婦が行います。「永久脱毛(硬毛が産毛になる状態を含む)」を目的としていて、方法としては、最新のレーザー脱毛と歴史のある電気脱毛の二つです。現在、針を刺す電気脱毛はエステでも行われているようですが、これは医療行為であり、医療機関以外で行うことは禁止されています。体内に針を刺すことは大変な危険が伴い、針やガーゼの消毒、施術後の皮膚のケアが、正しい医学知識のもとで管理されなければ、肝炎やエイズなどの重大なウイルス感染を起こすことがあります。針を何回も刺した後の炎症もばかになりません。感染を予防するために抗生物質などの薬剤の使用も必要です。近年、脱毛用レーザーも開発され大変な評判を得ていますが、上記の電気脱毛と同様、レーザー治療は医療行為ですので、医師免許を有する者にだけ許可された行為です()。

1. レーザー脱毛

レーザー光とは、人工光で、単一の波長と色を持っています。太陽光の中の可視光線は人間の眼では無色透明ですが、これを波長の長い順にならべますと7色の連続した帯状(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)になります。これらは、太陽光線をプリズムに当てたときや、雨の後で見える虹です。レーザー光の波長はこの可視光線帯内にある純粋な短波長ですが、高い振幅で発振し強いエネルギーを出すだけでなく、強い色選択性があります。脱毛用のレーザーは、この色選択性、つまり「黒色にのみ吸収され、白色には吸収されない」性質を利用したものです。つまり、皮膚表面にレーザー光を照射しますと、表皮は変化を起こしませんが黒色の毛は破壊されます。深部では毛に接する周囲組織に間接的にエネルギーの伝達がおよび、「毛の成長のもとである毛包が破壊する」ことで永久脱毛になります。

現在、脱毛用に使用できるレーザーはアレキサンドライトレーザー、ルビーレーザー、ダイオードレーザー、Nd-YAGレーザーがあります。

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2. 電気脱毛

この方法は「針脱毛」とも言います。脱毛用に特別に製作された針を毛穴から毛根まで刺し通電し、その熱により毛の成長のもとである毛包を破壊します。使用する電流により3つの方法があります。「電気分解法」は直流を、「高周波法」は高周波電流を、「ブレンド法」は直流と高周波を同時に流します。現在、多くの医療施設で行われているのは高出力が得られる高周波法です。電気脱毛では脱毛に用いる針も重要な要素です。皮膚表面に接する針の根元の所が、シリコンでコーティングして絶縁されていなければなりません。絶縁されていないと脱毛時の痛みは強く、皮膚表面はやけどになる可能性があります。やけどしないように機械の出力を弱くしますと脱毛効果は著しく低下します。この欠点を改善したのが「絶縁脱毛針」です。

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3. 電気脱毛とレーザー脱毛の比較

(1)治療時間と期間

一回の脱毛に要する時間、満足できるまでの治療回数どちらの面でもレーザーが優れています。レーザー脱毛にかかる時間は腋窩(ワキの下)10分、前腕と上腕(二の腕)それぞれ30分、下腿(スネ)や大腿(ひざ上)で1時間です。一方、電気脱毛では腋毛だけでも約2時間必要です。アレキサンドライトレーザーを例にとると、当たる光の大きさは直径1センチメートルあり1秒間隔で発射します。光の当たる範囲を少し重なるようにずらしながら照射します。一方、電気脱毛では多数の毛の一本一本に沿って針を刺し通電を繰り返さなければならないからです。しかも、毛包に正確に針を当てることは難しくかなり熟練した技術が必要で、結果は施術者の技術レベルにより大きなばらつきがあります。満足できるまでの治療期間を腋毛で比較すると、レーザーでは3から4回、電気脱毛で5から10回です。どちらの方法でも何回も治療が必要なのは「毛周期」に関連しています。毛は絶えず抜け変わっています。犬などの動物では一斉に毛が抜けて生え変わりますが、人間では個々の毛がばらばら時期に生え変わります。このために脱毛のときに生えているのは一部ですから、何回か繰り返さないと目的を達成できません。初回の脱毛を受けても数カ月後に同じように生えてきますが、これは休止期にあった毛が生えてきたものです。始めての方は不信感を持たれるかもしれませんが、脱毛を繰り返していると確実に毛は減少していきます。

(2)痛み

痛みは個人差と部位による差があります。電気脱毛は非常に痛く泣く人もいるくらいで、局所麻酔を注射して脱毛するときもあります。一方、レーザー脱毛は弱い痛みですから、そのようなことはありません。痛みに敏感な人に対しては、局所麻酔注射、皮膚表面に貼るテープ、クリームを使用できます。

(3)皮膚への侵襲

電気脱毛での治療直後の状態は針の刺し跡と腫れがはっきりと見えます。1週間くらいは目立つと考えていなければなりませんので、口ヒゲの脱毛には無理があります。それに比べてレーザーでは、ほんのりとした皮膚の赤みと死毛が毛穴に見えるだけです。死毛は1週間ぐらいで脱落します。口ヒゲ、前腕、下腿(スネ)でも脱毛できます。しかし、レーザーは乳首(乳頭、乳輪)、外陰部に近い所(Vライン)のような皮膚が黒ずんだ場所はやけどする恐れがあります。乳首では電気脱毛、Vラインではあせらずに弱めでレーザーを照射することが必要です。

(4)副作用

電気脱毛は熟練者に受けないと思ったような効果は上がらず、「やけど」による醜さだけが残ります。毛の成長のもとである毛包に正確に針を挿入することは難しく、かなり長期間の訓練が必要です。しかし、熟練者が行えば問題となるようなことは起こりません。ひどい炎症や色素沈着を起こすこともありません。

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