

熱傷(やけど)は日常生活において最も多い外傷の一つです。受傷した部位と大きさ(面積)、損傷の深さにより、治ったきず跡(瘢痕)がケロイド(きず跡が盛り上がる)状になったり、拘縮(引きつれ)などの後遺症を起こすこともありますので注意が必要です(図7、8)。
やけどとは、皮膚に高温が作用したために起こる傷害をさします。高温の液体や固体が一定時間以上接すると生じるものです。火炎・爆発などで生じる場合もあります。また、低温やけど(後述)と呼ばれる、比較的低い温度(44~60度)で生じるやけどもあります。
この他、特殊なやけどとして、薬品(酸、アルカリ溶液など)による化学熱傷、電流(家庭電源、落雷など)による電撃傷などがあります。
その原因としては、やかんやポットの湯、コーヒーやお茶、てんぷら油、カップ麺、味噌汁など高温液体によるものがあります。次いでストーブやアイロンなど熱性固体の接触によるやけどが多く見られます。最近では、電気炊飯器やポットの水蒸気の噴出口やファンヒータの吹き出し口に触れてしまう幼児の熱傷が増えています。湯気は熱湯以上に温度が高いので短時間で簡単にやけどとなります。
直ちに冷却することがたいせつです。これにより熱による皮膚への損傷が深くなることを防ぐだけでなく、受傷部位の痛みをやわらげることができます。
この場合、無理に衣服を脱がず、水道水などの流水を衣服の上から直接流します。冷却は20分くらい行います、水疱がある場合は出来 るだけ破らないようにしましょう。手指のやけどの場合、指輪をあらかじめ外すようにします。受傷後時間がたつと指がはれて抜けなくなり、指輪を切断しなければならないこともあるからです。
Ⅱ度熱傷であれば、大抵の場合、軟膏治療・やけど専用の創傷被覆材で治りますが、ひとたび創部に細菌感染(有害なバイキンが繁殖)を来すと損傷は深くなり治癒までに時間がかかるだけでなく、治癒後に瘢痕(やけどあと)や肥厚性瘢痕(ケロイド様の皮膚のもりあがり)、拘縮(ひきつれ)などの後遺症を招くことになります。
そのため、ある程度の範囲のやけどでは専門医師の診察をうけたほうが良いでしょう。特に特殊部位(顔面、手、関節、会陰部)のやけどの場合は小範囲でも専門の治療が必要です。
小児の皮膚は大人に比べて薄いため、深いやけどになり易い傾向があります。そのため小児においては特にやけどの予防が大切になります。小児におけるやけどの受傷状況は特有のパターンがあるので、それを考慮にいれれば不要なやけどを未然に防ぐことが可能です(図13)。
低温やけどとは短時間の接触では問題とならない程度の温度が、熟睡していたり、体が不自由だったりして長時間にわたって接触部に作用することにより生じるやけどです(図14)。湯たんぽ、電気あんか、電気毛布および使い捨てカイロなど冬場に長時間、身体にあてて使用する製品に多く発生しています。
平成21年11月、 製品技術評価基盤機構(通称NITEとよばれ、技術情報を収集、整理し「くらしの安全」に貢献、法律の執行を行政に替わり実施する機関)より低温やけど防止に関する注意喚起がなされました。
これによると平成20年度は前年から比較してこの低温やけどの発症が著しく増加しました(図15)。
特に近年は湯たんぽの使用が増えたため(湯たんぽの出荷は激増している)湯たんぽによる低温熱傷が増加傾向を示しています。
低温やけどは損傷レベルが深く、ほとんどがⅢ度のやけどとなるため専門の治療が必要となります。
これを防ぐためには、低温やけどの存在を知り、器具の使用方法を熟知して、体の同じ場所を長時間暖房器具に触れないようにする注意が必要です。