疾患紹介~こんな病気を治します!


新鮮熱傷

熱傷(やけど)は日常生活において最も多い外傷の一つです。受傷した部位と大きさ(面積)、損傷の深さにより、治ったきず跡(瘢痕)がケロイド(きず跡が盛り上がる)状になったり、拘縮(引きつれ)などの後遺症を起こすこともありますので注意が必要です(図78)。

やけどとは、皮膚に高温が作用したために起こる傷害をさします。高温の液体や固体が一定時間以上接すると生じるものです。火炎・爆発などで生じる場合もあります。また、低温やけど(後述)と呼ばれる、比較的低い温度(44~60度)で生じるやけどもあります。

この他、特殊なやけどとして、薬品(酸、アルカリ溶液など)による化学熱傷、電流(家庭電源、落雷など)による電撃傷などがあります。

その原因としては、やかんやポットの湯、コーヒーやお茶、てんぷら油、カップ麺、味噌汁など高温液体によるものがあります。次いでストーブやアイロンなど熱性固体の接触によるやけどが多く見られます。最近では、電気炊飯器やポットの水蒸気の噴出口やファンヒータの吹き出し口に触れてしまう幼児の熱傷が増えています。湯気は熱湯以上に温度が高いので短時間で簡単にやけどとなります。

1. やけどの症状

図9
図9

やけどは深さによりⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類され、それぞれ症状が異なります。その深さは皮膚組織(皮膚は外側から、表皮・真皮・皮下組織(脂肪)で構成されます)のどの部位まで損傷されているかで決定されます(図9)。皮膚の薄い子供や老人では損傷レベルは深くなります。

表1
表1

また、同程度にやけどを受傷しても、体の部位により皮膚の厚さが異なるため(手のひらは皮膚が厚く、手の甲は皮膚が薄いなど)損傷レベルに違いを生じます。(表1)。

表2
表2

浅いやけどは痛みなどの症状が強く、深くなるに従い痛みは少なくなっていきます。
Ⅱ度のやけどはその深さによりさらに浅いものと深いものに分けられます(表2)。

図10
図10

Ⅱ度の浅いやけどはきず跡を残さず治癒します(図10)。一方Ⅱ度の深いやけどはきず跡(やけどのあと)を残して治癒します。

図11
図11

ときには肥厚性瘢痕とよばれるケロイド様のやけどあとを残します(図11)。

図12
図12

Ⅲ度のやけどは手術等専門的な治療が必要になります(図12)。

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2. 応急処置

直ちに冷却することがたいせつです。これにより熱による皮膚への損傷が深くなることを防ぐだけでなく、受傷部位の痛みをやわらげることができます。

この場合、無理に衣服を脱がず、水道水などの流水を衣服の上から直接流します。冷却は20分くらい行います、水疱がある場合は出来 るだけ破らないようにしましょう。手指のやけどの場合、指輪をあらかじめ外すようにします。受傷後時間がたつと指がはれて抜けなくなり、指輪を切断しなければならないこともあるからです。

Ⅱ度熱傷であれば、大抵の場合、軟膏治療・やけど専用の創傷被覆材で治りますが、ひとたび創部に細菌感染(有害なバイキンが繁殖)を来すと損傷は深くなり治癒までに時間がかかるだけでなく、治癒後に瘢痕(やけどあと)や肥厚性瘢痕(ケロイド様の皮膚のもりあがり)、拘縮(ひきつれ)などの後遺症を招くことになります。

そのため、ある程度の範囲のやけどでは専門医師の診察をうけたほうが良いでしょう。特に特殊部位(顔面、手、関節、会陰部)のやけどの場合は小範囲でも専門の治療が必要です。

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3. 予防

図13
図13

小児の皮膚は大人に比べて薄いため、深いやけどになり易い傾向があります。そのため小児においては特にやけどの予防が大切になります。小児におけるやけどの受傷状況は特有のパターンがあるので、それを考慮にいれれば不要なやけどを未然に防ぐことが可能です(図13)。

  • 熱湯や汁物などの高温の液体を小児の近く(手の届く範囲)に放置しない。
  • テーブルクロスなどを使用しない(歩き始めの子供が引っ張る)。
  • 炊飯器やポットの蒸気の吹き出し口は子どもが好奇心を示すので注意する。
  • 温風ヒーターの吹き出し口に注意する。
  • アイロン、ストーブなどの熱源に触れないよう配慮する。
  • 電気コードや電源のソケットに注意する(幼児が口に含んで電撃傷をおこすことがある)。

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4. 最近のトピックス:低温熱傷

図14
図14

低温やけどとは短時間の接触では問題とならない程度の温度が、熟睡していたり、体が不自由だったりして長時間にわたって接触部に作用することにより生じるやけどです(図14)。湯たんぽ、電気あんか、電気毛布および使い捨てカイロなど冬場に長時間、身体にあてて使用する製品に多く発生しています。

図15
図15

平成21年11月、 製品技術評価基盤機構(通称NITEとよばれ、技術情報を収集、整理し「くらしの安全」に貢献、法律の執行を行政に替わり実施する機関)より低温やけど防止に関する注意喚起がなされました。
これによると平成20年度は前年から比較してこの低温やけどの発症が著しく増加しました(図15)。
特に近年は湯たんぽの使用が増えたため(湯たんぽの出荷は激増している)湯たんぽによる低温熱傷が増加傾向を示しています。

低温やけどは損傷レベルが深く、ほとんどがⅢ度のやけどとなるため専門の治療が必要となります。
これを防ぐためには、低温やけどの存在を知り、器具の使用方法を熟知して、体の同じ場所を長時間暖房器具に触れないようにする注意が必要です。

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