疾患紹介~こんな病気を治します!


新鮮外傷

外傷とは、外力(機械的、物理的、化学的)により生じた組織・臓器の損傷(けが)をさしま す。形成外科では顔面、手足などにおいて、骨、筋肉・腱、神経、血管の外傷を扱います。ここで は日常生活で最も多く遭遇する、外力により生じた皮膚、軟部組織損傷(いわゆる創傷)につい て述べます。

創傷は受傷の原因、受傷時の創部状態によって分類します。主なものとして、

  1. 切創(切りきず)
  2. 擦過傷(すりきず)
  3. 裂挫創(皮膚が裂けたきず)
  4. 刺創(刺しきず)
  5. 咬傷(咬みきず)

に分けられます。創をきれいに治すためには初期の治療が、とても大切です。けがをした場 合は、すみやかに形成外科のある医療施設への受診をお勧めします。

1. 切創(切りきず)

ガラス片や刃物などの鋭利なもので切れたいわゆる「切りきず」です(図1 ※出血の写真があります)。手足の切創においては、比較的浅いところを走行する神経、血管、腱などの損傷を伴なうことがあるため、早期にそれらの損傷を確認し適切な処置を受ける必要があります。

顔面の切創においては顔面神経(耳前部皮下にある顔の表情を作るための神経)、涙小管(目頭にある涙の排泄路)、耳下腺管(頬部皮下にある唾液の流れる管)などの損傷を伴なうことがあり、形成外科での専門治療が必要となります。また、切創は鋭利なきずのため出血が多く、止血を目的とした処置が必要な場合があります。

受傷時は局所をガーゼ等で保護・圧迫、挙上(手足の場合)して、できるだけ早く治療を受ける必要があります。切創の場合、一般的には周囲組織の損傷は軽度であり、縫合処置などにより早期治癒が可能です(1週間以内)。形成外科においては単に創の閉鎖のみならず、創をなるべくきれいに直すように心がけて治療しています。

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2. 擦過傷(すりきず)

道路や塀などにこすりつけることにより、皮膚がすりむけた状態の創傷です(図2 ※出血の写真があります)。皮膚の損傷自体は浅く、多くの場合縫合せずに治ります。しかし、創面に微細な土砂、ゴミなどが埋入 し、治ったあとも皮膚のなかに残っていしまう場合があります。

図3
図3

この状態を外傷性刺青といい、特にアスファルトなどの黒色の異物は治ったあとがかなり目立ちます(図3)。

これを防ぐためには受傷直後早期に創部の十分な洗浄とブラッシングを行い、細かな異物を除去しておくことが大切です。

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3. 裂挫創(皮膚が裂けたきず)

鈍的外傷により生じた皮膚の損傷で、切創に比べて創部周囲の損傷が高度なことが特徴です(図4 ※出血の写真があります)。

創縁の損傷の程度により治癒に時間がかかることがあります(1週間以上)。時には創縁の痛んだ組織を一部切除(デブリドマン)して縫合する場合もあります。

また、創部の汚染(屋外での受傷など)を伴っている場合は、処置後の感染(バイキンの繁殖)の危険性も高く、初期治療時に創部の十分な洗浄と抗生物質の投与が必要です。

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4. 刺創(刺しきず)

図5
図5

先端の尖った鋭利な器具が突き刺さって生じる創で、創口が小さくても奥行きが深い事が特徴です(図5)。

時には器具の先端が創内で折れて残存し、摘出が必要になる場合もあります。また、深部に創が及ぶと血管損傷や神経損傷、さらには重要な臓器損傷の可能性があります。

このような場合は異物除去や止血、深部組織の修復が必要となります。刺入部が小さくても注意を要する創傷です。

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5. 咬傷(咬みきず/ヒト咬傷、動物咬傷)

ヒトや動物に咬まれた後に生じる創傷です。歯型に合致した創口形態(きずの形)が特徴的です(図6 ※出血の写真があります)。

歯に付着している雑菌が体内に押し込められることにより、受傷後の感染の頻度が最も高い創傷のひとつです。一般的には、感染回避に治療の重点がおかれ、十分な洗浄、抗菌薬の投与、破傷風の予防注射などが行われます。

歯牙による創口は小さいので、創を切開、拡大して処置を行う場合もあります。受傷時に閉創すると、創内に膿瘍(うみ)を形成することがあるため創部は縫合せず、適宜洗浄し開放創のままで治癒させます。

その場合、きずあとは幅広く目立つことがあります。この場合は時間をおいて、きず跡をきれいにする形成外科的手術を行います。

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