疾患紹介~こんな病気を治します!


瘢痕、瘢痕拘縮、肥厚性瘢痕、ケロイド

ケロイドとは?

赤くみみずばれのように盛り上がる傷跡は、一般的に「ケロイド」と思われることが多いですが、専門的にはケロイド・肥厚性瘢痕・肉芽腫・成熟瘢痕・瘢痕拘縮といったものの可能性があり、それぞれ治療法が異なります。

ケロイドは体質によるものが多く、遺伝することもあります。ケロイドは特に意識しないような小さな傷、たとえばニキビ(尋常性ざ瘡)や毛嚢炎などからも発生することがあり、まるで何もない場所に突然できたようなものもあります。胸や肩、お腹(特に帝王切開をされた方の下腹部)、またBCGの注射跡、ピアスをあけた耳にできることもあります。

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ケロイドの治療

1. 手術しない方法(保存的治療)
1) 飲み薬
飲み薬ではトラニラスト(リザベン®)が有効であるとされています。これは抗アレルギー剤であり、ケロイドや肥厚性瘢痕の組織中にある各種炎症細胞が出す化学伝達物質を抑制することにより、痒みをはじめとする自覚症状を抑え、さらには病変自体を沈静化させると考えられているものです。また漢方薬の柴苓湯が使われることもあります。
2) 塗り薬
塗り薬として効果のあるものにはいくつかあります。炎症を抑える目的での、アンテベート®をはじめとするステロイド軟膏・クリームや、非ステロイド系抗炎症剤、ヘパリン類用物質であるヒルドイドソフト軟膏®などです。今後も新しい塗り薬が開発される可能性がありますが、現在のところ、塗り薬だけで治療することは難しいのが現状です。
3) 圧迫固定具
ケロイドは、絶えず力がかかる部位にできる傾向が強いので、傷を安静に保つ意味でも重要です。これも他の治療法と組み合わせて施行しなければならない治療の1つです。
4) テープ治療
最も多く利用されているものには、ステロイドのテープ(ドレニゾンテープ®)や、シリコンジェルシートがあります。シリコンジェルシートは、サポーターなどによる圧迫療法に対して、非圧迫療法として使われています。ジェルシート自体に粘着力があるため、ケロイドにぴったりくっつき、洗うことによって繰り返し使うことができます。
5) 注射
ステロイド(ケナコルト®)をケロイドに注射することがあります。赤みや盛り上がりは著明に減少しますが、効果が強すぎるとかえって凹んだ瘢痕になることがあります。塗り薬と同じく、ステロイドであるため、毛細血管の拡張が生じることがあり、周囲の皮膚の菲薄化が生じることもあるのが欠点です。また硬い瘢痕の中に注射するため、痛みがあり、女性ではステロイドの影響で生理不順が生じることもあるため注意が必要です。
6) レーザー
ケロイドの治療に、レーザーを使うことがあります。その効果はまだはっきりしておらず、各病院で試行錯誤がくりかえされています。
7) その他
そのほか液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されてきましたが、どの保存的治療でも単独では効果のあるものが少ないのが現状です。
2. 手術する方法
1) 手術に対する考え方
ケロイドは、いままで解説してきた方法で軽快するようであれば、手術をしなくて良いですが、ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、身体の目立つ所で醜状が問題となれば、手術の適応となります。
しかし、従来からこれらは安易に手術してはならないとされてきました。なぜならば、ケロイドは再発しやすく、前よりさらに大きなものになってしまうことがあるためです。今でもそのような考えの医師は多いのですが、形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに術後の放射線治療を行って、これらの問題を解決してきました。
2) 摘出術
麻酔は小さいものであれば局所麻酔でも良いですが、大きいものだと全身麻酔で行います。切除する深さは、脂肪層に達するまで、硬い組織を全て切除します。
3) 縫合法
ケロイドを摘出した後に、傷を縫合しなければなりませんが、最も大切なことは、見た目をきれいに縫うことではなく、ケロイドが再発しないように縫うことです。ケロイドは、引っ張られる力がかかる傷にできやすいと考えられるため、引っ張られることを前提に、あらかじめ盛り上げて傷を縫っておくのがポイントです。
4) 術後放射線治療
ケロイドの術後に放射線治療(電子線照射)を行うことがあります。ケロイドの原因である線維芽細胞の異常な働きを抑える目的で使用します。もちろん放射線であるため、将来的に発癌のリスクが増える可能性は否定できませんが、この治療がはじまって100年が経過する現在、ケロイド治療において発癌の因果関係がはっきりと証明された報告はほとんどありません。
5)手術の後療法について
外科的治療および放射線治療で一度は完治したとしても、術後から局所の皮膚伸展を繰り返していれば、やはり再発することもあります。よってシリコンジェルシート、軟膏、圧迫療法などを続けていただく必要があります。

図1 ケロイドの手術治療例
図1 ケロイドの手術治療例

参考文献:

小川令, 赤石諭史, 小野真平, 栗林茂彦,宮下次廣, 百束比古. ケロイドに対する手術および術後電子線治療-18ヶ月以上経過観察された522部位の検討-. 日形会誌 28: 763-770, 2008

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