

顔面神経は顔の動きに関与し表情を作るために重要な神経です。
顔面神経が損傷されると、眉毛があがらなくなったり、目が閉じられなくなったり、口元が動かなくなるなどの症状を起こします。
顔面神経は、耳たぶの付近から眉毛の外側・目・口唇などに向かって放射線状に皮膚の深層を走行しています(図3)。
この走行線上に深い切り傷を生じた場合は顔面神経を損傷する危険があります。
治療は損傷された神経を手術でつなぐことが必要です。
しかし、神経をつなぐ手術を行っても残念ながらすぐに顔の動きが回復するわけではありません。つないだ神経が働くようになるには数ヶ月から半年の回復期間が必要で、回復の程度も損傷の状態によって様々です。
治療の時期は、できるだけ早期が望ましいとされています。
損傷してから1年程度経過すると顔を動かす筋肉の機能が失われてしまいます。その場合は「顔面神経麻痺」の項目で解説している治療が必要になります。
涙道の働きは涙を鼻に流す配水管です。実は涙は悲しいときだけに出ているのではありません。
乾燥に弱い目を守り清潔に保つために、涙は常に目の表面を流れています。涙道によって涙は目からあふれることなく、目を潤し清潔に保つことができているのです。
涙道は目頭にある小さな穴から始まり、鼻の横から骨の中を通過し鼻の奥に続きます(図3)。
目頭周囲の切り傷や顔面骨骨折によってこの涙道が損傷されてしまうと、涙の配水管が詰まるので常に目から涙があふれ出すことになります。さらに詰まった管の中で細菌が繁殖すると感染が生じ、目頭の付近が腫れて膿がでることもあります。
治療は、目頭に近い部分と、顔面骨内を通過している部分で異なります。
目頭に近い部分では、手術で断裂した管をつなぎ、詰まらないように細いシリコン製のチューブを涙道に通して一定期間留置することが行われます。
この部分の涙道は非常に細くケガをしてから時間が経ってしまうとつなぐことは困難になってしまいます。
一方、顔面骨内を通過している部分の閉塞では顔面骨骨折の治療をまず行います。骨折の治療後も涙道の閉塞症状がある場合は、詰まっている部分より手前で鼻との連絡通路を新たに作製する方法を行います。
この場合は、目頭と鼻の間を少し切って手術することになります。
耳下腺と耳下腺管は、唾液を作る組織と通す管の一つです。
耳下腺は耳の前方の深部にあり、唾液を産生しています。産生された唾液は耳下腺管を通じて口の中に運ばれます。耳下腺の中を顔面神経が走行しています。また、耳下腺管は、顔面神経の頬筋枝の近くにあります(図3)。
耳下腺や耳下腺管が損傷されると唾液が漏れ皮膚の下に溜まることで、耳の前が腫れ、縫った傷から唾液が漏れてくることがあります。
治療は、耳下腺管が切れている場合は、可能であればつないで口腔内からチューブを入れて一定期間留置します。つなぐことができない場合は管から唾液が漏れないように縛ってしまいます。
縛った場合は耳下腺が腫れるため耳の前が腫れますが自然に改善してきます。
耳下腺の損傷で傷から唾液が漏れる場合は、傷の洗浄を続けることで自然に治ります。